実務・実体法の解釈や運用を解説してくれる書籍は大変便利で,それらを「修習関連書籍」としてまとめてきたわけですが,「民事」とも「刑事」とも言えないような本もたくさんあって,とりあえずそれらをメモしてみようかなと思ったため,この記事を書きました。
必ずしも修習に関連するわけでもなく,法律に携わる人であれば持っておいて損はないかなと思う本を思いつくままに挙げてみようと思います。といっても,今の段階では用字用語例集の類と,リーガルリサーチの解説本だけですが。
【用語用字】
「文章を書くこと」を職業にする以上,言葉遣いには敏感すぎるほど敏感であってもいいと思います。広辞苑などの一般的な辞書辞典はともかくとして,細かい言葉遣いに気をつけるために,以下挙げる本は何冊か手元においておきたいところです。
林修三『法令用語の常識 (1975年) (セミナー叢書)』
→おそらく一番最初に挙げるべきは本書だと思います。著者はすでに鬼籍に入られており,本書の最新版は1975年版ですが(画像リンクは1958年版のものしかなかったのでそちらを使っていますが,最新版は題名リンクの方です),未だに書店に並んでいて,名著としての地位を確立しているのだなと感じます。
著者は内閣法制局長官経験者,立法のエキスパートです。本書は,立法に精通した著者が,立法用語について,実際の法令を引用しつつ解説するという内容になっています。検索性に優れており,解説も読みやすく,かつ,随所に挿入されるコラムが面白いです。
「又は」と「若しくは」,「及び」と「並びに」の違いなどは有名ですが,「前項の場合」と「前項に規定する場合」の違いはご存知でしょうか? 僕は恥ずかしながらロースクールに入学するまで知りませんでした。これは僕だけかもしれませんが,「その他」と「その他の」の違いは何度覚えても忘れてしまいます。
立法用語について少しでも迷うのであれば(僕は迷ってしまうわけですが),本書か,以下紹介するあとの2冊は手放せないかなと思います。
同じ著者の本に『法令解釈の常識』『法令作成の常識』とあって,外見もほとんど同じなので,もし本書を手に取る場合は気をつけたほうがいいかもしれません。
吉田利宏『新法令用語の常識』
→法学セミナー連載の書籍化。出版は2014年10月。上記林『法令用語の常識』が長い間改訂されずにいた状況を踏まえ,現代に合わせたものが出版されました。
著者は衆議院法制局経験者。立法のエキスパートであることは変わらず,林氏の著書と項目立てもほぼ同じです。実質的には,林『法令用語の常識』の改訂版ですね。
よって,本書の特徴とか感想も変わりません。好き好きだとは思いますが,これからは本書を買えば良いのではないでしょうか。
法制執務用語研究会『条文の読み方』
→こちらは法学教室連載の書籍化。日本評論社vs有斐閣といった感じですね。
『法令用語の常識』『新法令用語の常識』との違いは,こちらの方が初学者向けというところでしょうか。
『法令用語の常識』は用語解説に終始しているのに対し,本書は「第1部 基礎知識編 条文を読む前に」という章が「第2部 法制執務用語編 条文の読み方」の前に設置されていて,法律の構造,種類,制定過程や調べ方が簡単に解説されています。
あと,レイアウトは本書の方がポップで,かつ分量は薄くなっています。必然,法令用語の数は,本書の方が少なくなっていますね。学部レベルであれば,本書の方が良いのかもしれません。
随所に「コラム」が挿入され,読み手を飽きさせない工夫もなされています。かなり値段もリーズナブルなので,気軽に手に取れるのではないかなと思います。
『最新公用文用字用語例集 改定常用漢字対応』
『改訂版 公用文 用字用語の要点』
→一転してこちらは法律関係なく,「公用文」を書くときに気をつけるべき漢字などを並べたものです。
裁判所に提出する文書などは,(こだわりにすぎないかもしれませんが)公用文のルールにそったものにしたいなと思ったりするわけでして,そうすると,机にこういう本が欲しくなります。
上の『用字用語例集』は厚さの割に高くないので,ささっと買えるのではないでしょうか。
【リーガルリサーチ】
リーガルリサーチも,中々体系的に学ぶことのない分野ですが,身につけておかなくてはならないスキルであることもまた,事実だろうと思います。
いしかわまりこ=藤井康子=村井のり子[著],指宿信=井田良=山野目章夫[監修]
『リーガル・リサーチ第4版』
リーガル・リサーチ研究会[編]『実践 判例検索―体系志向のリーガル・リサーチ (Legal seminar)』
→ひとくちに「リーガル・リサーチ」と言ってもいくつかありますが,上のピンクの方は「法令検索」「判例検索」「文献検索」全てを網羅的に解説しており,下のブルーは判例検索,特に,D1-Lawシステムを用いた検索に特化して解説がなされています。
リーガル・リサーチの方法は,大部分の方が自然と身についていくような気がしますが,一度,実務に出る前に,このような本を読んでリサーチ方法を「確認」することも有益かなと思います。
必ずしも修習に関連するわけでもなく,法律に携わる人であれば持っておいて損はないかなと思う本を思いつくままに挙げてみようと思います。といっても,今の段階では用字用語例集の類と,リーガルリサーチの解説本だけですが。
【用語用字】
「文章を書くこと」を職業にする以上,言葉遣いには敏感すぎるほど敏感であってもいいと思います。広辞苑などの一般的な辞書辞典はともかくとして,細かい言葉遣いに気をつけるために,以下挙げる本は何冊か手元においておきたいところです。
林修三『法令用語の常識 (1975年) (セミナー叢書)』
→おそらく一番最初に挙げるべきは本書だと思います。著者はすでに鬼籍に入られており,本書の最新版は1975年版ですが(画像リンクは1958年版のものしかなかったのでそちらを使っていますが,最新版は題名リンクの方です),未だに書店に並んでいて,名著としての地位を確立しているのだなと感じます。
著者は内閣法制局長官経験者,立法のエキスパートです。本書は,立法に精通した著者が,立法用語について,実際の法令を引用しつつ解説するという内容になっています。検索性に優れており,解説も読みやすく,かつ,随所に挿入されるコラムが面白いです。
「又は」と「若しくは」,「及び」と「並びに」の違いなどは有名ですが,「前項の場合」と「前項に規定する場合」の違いはご存知でしょうか? 僕は恥ずかしながらロースクールに入学するまで知りませんでした。これは僕だけかもしれませんが,「その他」と「その他の」の違いは何度覚えても忘れてしまいます。
立法用語について少しでも迷うのであれば(僕は迷ってしまうわけですが),本書か,以下紹介するあとの2冊は手放せないかなと思います。
同じ著者の本に『法令解釈の常識』『法令作成の常識』とあって,外見もほとんど同じなので,もし本書を手に取る場合は気をつけたほうがいいかもしれません。
吉田利宏『新法令用語の常識』
→法学セミナー連載の書籍化。出版は2014年10月。上記林『法令用語の常識』が長い間改訂されずにいた状況を踏まえ,現代に合わせたものが出版されました。
著者は衆議院法制局経験者。立法のエキスパートであることは変わらず,林氏の著書と項目立てもほぼ同じです。実質的には,林『法令用語の常識』の改訂版ですね。
よって,本書の特徴とか感想も変わりません。好き好きだとは思いますが,これからは本書を買えば良いのではないでしょうか。
法制執務用語研究会『条文の読み方』
→こちらは法学教室連載の書籍化。日本評論社vs有斐閣といった感じですね。
『法令用語の常識』『新法令用語の常識』との違いは,こちらの方が初学者向けというところでしょうか。
『法令用語の常識』は用語解説に終始しているのに対し,本書は「第1部 基礎知識編 条文を読む前に」という章が「第2部 法制執務用語編 条文の読み方」の前に設置されていて,法律の構造,種類,制定過程や調べ方が簡単に解説されています。
あと,レイアウトは本書の方がポップで,かつ分量は薄くなっています。必然,法令用語の数は,本書の方が少なくなっていますね。学部レベルであれば,本書の方が良いのかもしれません。
随所に「コラム」が挿入され,読み手を飽きさせない工夫もなされています。かなり値段もリーズナブルなので,気軽に手に取れるのではないかなと思います。
『最新公用文用字用語例集 改定常用漢字対応』
『改訂版 公用文 用字用語の要点』
→一転してこちらは法律関係なく,「公用文」を書くときに気をつけるべき漢字などを並べたものです。
裁判所に提出する文書などは,(こだわりにすぎないかもしれませんが)公用文のルールにそったものにしたいなと思ったりするわけでして,そうすると,机にこういう本が欲しくなります。
上の『用字用語例集』は厚さの割に高くないので,ささっと買えるのではないでしょうか。
【リーガルリサーチ】
リーガルリサーチも,中々体系的に学ぶことのない分野ですが,身につけておかなくてはならないスキルであることもまた,事実だろうと思います。
いしかわまりこ=藤井康子=村井のり子[著],指宿信=井田良=山野目章夫[監修]
『リーガル・リサーチ第4版』
リーガル・リサーチ研究会[編]『実践 判例検索―体系志向のリーガル・リサーチ (Legal seminar)』
→ひとくちに「リーガル・リサーチ」と言ってもいくつかありますが,上のピンクの方は「法令検索」「判例検索」「文献検索」全てを網羅的に解説しており,下のブルーは判例検索,特に,D1-Lawシステムを用いた検索に特化して解説がなされています。
リーガル・リサーチの方法は,大部分の方が自然と身についていくような気がしますが,一度,実務に出る前に,このような本を読んでリサーチ方法を「確認」することも有益かなと思います。
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