おそらく需要があると思いますので、去年やったように、試験のレビューをしたいと思います。「」が僕の発言、()が内心、地の文が試験官の発言です。これで122点(合格点119点)でした。おそらくですが、民事60、刑事62ではないかなあと勝手に思っています。
 ここからあと3点落とすことができるので、目安にしていただければ、幸いです。

1日目 民事系

 まず、1枚目のパネルをめくって下さい。(X甲土地所有、甲土地の所有権移転登記がYへ移っている図)今から、事案の説明をします。あなたは、弁護士Pです。Xから、自分の所有している甲土地の登記が勝手にYに移っており、どうにかして欲しい、との相談を受けました。
 あなたは弁護士Pとして、どのような訴訟を提起しますか。

(いきなり訴訟の話か。まず相談します、とかはないのだな)
「甲土地の所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記請求の訴訟を提起します。」

 いきなり訴訟物まで言われましたね(笑)。そうですね、登記の抹消手続を求める訴訟を提起すると。では、もう一度、訴訟物は何ですか。

「所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記請求権です。」

 所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記手続請求権、つまり、所有権に基づく物権的請求権としての、ということですね。では、物権的請求権として、他に何がありますか。

(言い直された?手続請求は、請求の趣旨の話だったような気がするが…)
「妨害排除請求権、返還請求権、妨害予防請求権があります。」

 その三つがあると。では、妨害排除請求権と返還請求権との違いを答えて下さい。

「占有しているか、占有以外の方法によって妨害しているかです。」

 じゃあ、妨害予防請求権って、何ですか。

(知らない)
「えっ…と、所有権を侵害されるおそれがあるときに、その侵害行為の予防を求めることが出来る権利だと思います。」

 うーん…まあいいか。では、本件訴訟の請求原因をどうぞ。

「Xが甲土地を所有していること、甲土地上に被告、Y名義の所有権移転登記があることです。」

 なぜ、あなたはそれが請求原因になると思ったのですか。

(!?)
「訴訟物が所有権に基づく物権的請求権ですので、所有権が必要です。あと、相手方の妨害を主張する必要があるので、その妨害として被告名義の登記の存在を主張します。」

 登記があることにより、所有権が侵害されていることが基礎づけられるのですね。

(そういうことか)
「はい。」

 では、パネルの2枚目をめくってください。(Yの言い分が書かれている。Xの子Aから、平成25年8月1日、甲土地を1000万円で買った。その際、AはXの実印が押された委任状とXの実印を持参しており、Aに代理権があることは明らかであった。平成25年8月1日、Yは甲土地の所有権について登記を備えた。)
 あなたは、Yから相談を受けた弁護士Qです。Qとして、先ほどの請求原因に対して認否を述べてください。

「原告主張の請求原因事実はどちらも認めた上で、所有権喪失の抗弁として、YA間の売買契約を主張します。」

 えっ?どっちも認めちゃうんですか?だって、所有権まで認めたら負けちゃいますよ?

「あ、つまり、平成25年8月1日の原告もと所有の限度で認めることになるかと思います。」

 で?

「やはり、その上で抗弁を提出するかと…」

 認めたら負けますけど?

「いえ、抗弁なので、認めた上で原告の請求原因の効果を阻害するかと…」

 でも、原告主張の請求原因事実は現在所有なんですよね?

「すみません。やはり、原告所有については否認した上で、抗弁を提出します。」

 そうですね。現所有については、否認をすることになります。では、Yから乙第1号証として委任状が提出されました。Pは、この委任状についてどう認否しますか。

(無駄に時間をかけすぎたな…失敗した)
「成立の真正を否認します。」

 あなたは、裁判長から、Xの実印による印章があることについては、どうですか?と、こう言われました。どうしますか。

「印影がXの実印、印章によるものであることは認めます。」

 では、なぜ、裁判長はこのように聞いたのだと思いますか。

(みんな大好き二段の推定)
「二段の推定の法理があるため…つまり、本人の印章による印影が本人の意思で押されたことによって、文書全体の成立の真正が推定されるからです。」

 うん。あなたは今、二段の推定とおっしゃった。二段の推定について、説明をお願いします。

「私文書を書証として提出するには、成立の真正を言う必要があります。私文書に本人の印章による印影が顕出されることで、その印影は本人の意思によって押されたことが事実上推認され、この二つの要件によって、私文書全体の成立の真正が法律上推定されることです。」

 では、そのまま弁論が進んで、Yが甲土地の所有権をZに移して、かつ登記名義も移してしまったことがわかりました。Pとしては、どうしますか。

(訴訟係属中の承継人の話か。訴訟承継が出てくるとは)
「Zに対し、訴訟承継の申立てをします…えっと、訴訟引受けでしたっけ?」

 どっちですか。

「えー…引受けだと…思うのですが…」

 確認して下さい。

「ありがとうございます。…はい、引受けの申立てを行います。」

 そうですね。訴訟引受けです。別訴を提起する、では駄目なのですか。

「別訴を提起すると、…訴訟費用が余計にかかりますし、あと、先ほど弁論が進んでから、と仰られましたが、別訴を提起するとそれまでの証拠を使えずにまた一からやり直しになるので、えー、訴訟引受けをした方が、今までの弁論の結果を流用できて便利だと思います。」

 そうですね。では、Pとして、このような事態にならないためには、どうすべきだったでしょうか。

(ここで保全か)
「訴えを提起するときに、民事保全上の、係争物に関する仮処分、つまり、処分禁止の仮処分を申し立てれば良かったと思います。」

 今あなた、「訴えを提起するときに」とおっしゃったが、それは必要なのですか。

(いかん余計なことを口走ってしまった)
「えっと…必要だと…思ったのですが…」

 本当?

「民事保全は強制執行の準備ですので、…やはり必要かと…すみません、条文を確認しても良いでしょうか。」

 どうぞ。

「…条文上、申立てとしか書いていないため、そのような要件はありません。」

 はい。では、仮処分の要件を答えて下さい。

(また無駄に時間を使ってしまった、失敗)
「被保全債権の存在と、現状の変更により権利を実現できなくなるおそれが…あ、すみません、保全の必要性です。」

 そうですね。被保全債権の存在と、保全の必要性の二つです。では、…よろしいでしょうか、はい。おわります。

(保全はこれだけか、失敗したからかもしれない)
「ありがとうございました。」

→感想
 試験官と議論めいたことをして時間を使ってしまったことを強く反省し、そして、余計なことを言うものではないと、こちらも反省しました。
 大変にオーソドックスな要件事実の問題でした。特段難しいことは聞かれませんでした。所有権喪失の抗弁についても、代理権についても、ほとんど聞かれずじまいでした。
 事前の対策として、「条文の文言をそのまま覚える」ということをやっていたのですが、逆に冗長な印象を与えたようでした。端的に、「権利と必要性」のように答えることを期待されていたよう。先生によるのかもしれませんが。
 ただ確かに、まずは端的に問いに答え、「なぜ?」や「条文上の文言は?」と聞かれてから答える方が良い印象を与えるだろうなと思いました。
 主査の表情が終始怪訝なものだったので、怖かったです。


2日目 刑事系

 今から事案を読み上げます。Aが、被害者に暴行を加えて畏怖させ、後で金100万円を用意するように言ってから被害者を帰しました。Bは、Aからこの話を聞き、5万円の報酬と引換えに被害者から100万円をもらってくるように持ちかけられました。Bは、5万円ほしさにこれを引受け、被害者から、後日、100万円を受け取りました。いいですか。では、Aには何罪が成立しますか。

「強盗罪が成立すると思います。」

 ああ、暴行は反抗を抑圧するに足らない程度のものだ、としてください。

「あ、はい…そうしますと、…恐喝です。」

 そうですね。では、恐喝の実行行為はなんでしょうか。

「暴行、脅迫を加えて畏怖させることです。」

 それだけ?

「すみません、金員を交付させ、受領することです。」

 そうだよね。なら、Bの罪責は?

「恐喝の、…幇助犯かと。」

 え?だって、Bはお金を受け取っているんですよ。実行行為をやっているのにどうして幇助なんですか。

「すみません、Bにも恐喝罪の共同正犯が成立します。」

 はい。そうです。今あなたは、Bについて共同正犯が成立すると言いました。Bは暴行をしていないのに、その部分まで含めて責任を問えるのはなぜですか。

「Bには、Aと意思連絡…共謀がありますので、実行行為の分担をしても、全責任を問えるかと思います。…あ、すみません。Aが暴行を加えたときには、まだBは犯行について知らなかった場合ですか。」

 はい。事案はそうですよ。

「そうであれば、BはAの暴行によって生じた畏怖状態を利用して、金員の交付を受けているので、なお、その、利用意思が認められるので、責任を問えると思います。」

 そのような共犯形態を講学上、なんと言いますか。

「承継的共犯です。」

 うん、そうですね。では、事案をアレンジします。Aが、暴行の際、被害者に対し、顔面打撲の傷害を与えたとします。Aには何罪が成立しますか。

(これもしかして24年のあれか…?)
「恐喝と傷害の、観念的競合です。」

 Bは?

「Bは、恐喝の共同正犯です。」

 Bは、傷害については責任を負わないと、そうお考えなのですね。では、AがBに対して、被害者がお金を出すのを渋ったらシメてもいいぞ、と言い、Bはその通りに被害者に暴行を加え、右腕骨折の傷害を負わせたとしましょう。Bはどの限度で責任を負いますか。

( 千 葉 勝 美 補 足 意 見 … またお前か)
「そうであっても、Bは、右腕骨折の限度で、責任を負うと思います。」

 なぜ?

「Bは、Aの生じさせた畏怖状態は利用しているとは言えても、Aの作り出した傷害を利用して傷害した、とは言えないと思うからです。」

 傷害を利用していないと。そしたら、Aが被害者をボコボコに殴って、被害者がぐったりしていると、こうしましょう。そのぐったりした状態を利用して、Bは被害者の右腕を折った。どうなりますか。

「え…と…そうしましても、やはり、ぐったりした状態をことさらに利用して傷害を加えた、とは、言いにくいと言いますか、因果関係が、つながりが弱いと、思うのですが…」

 はい、いいですよ。あなたとしては、傷害は承継されないと、こうお考えなのですね。
 では、場面を変えましょう。捜査段階で、ABは共に自白しています。あなたは、AB両名の弁護を頼まれました。この場合、なにか問題はありますか。

(やっと解放されたと思ったら、いきなり法曹倫理か)
「AとBの利害が衝突する可能性があるので…つまり、利益相反が生じて、共同弁護は出来ないかと思います。」

 AとBはどちらも完全に自白してるんですよ?それでも、利益相反が生じるんですか。

「あの…Aの指示でBが動いていたり、従属的な地位だったりして、Aが重くなればBが軽くなる、のような関係が認められる場合のように、利益は相反すると思います。」

 いや、AとBはどっちも自白していて、事実に争いがなかったらどうなの?

「それでも…あの、利益相反のおそれは、審理が進んで、経過次第では生じると思うので、やはり、弁護できないと思うのですが…」

 では、A,B両名が共に否認していたら?

「えっと…それでも、利益相反性はあるかと思います。引っ張り込みの危険と言いますか、そのようにして、おそれはなお生じうるかと…。確かに、共同弁護をすれば切り違え尋問を防ぐなどの利点はありますけれど…やはり、相反性を認めるべきだと思います。」

 まあ、否認の具体的な内容にもよるけどね。いいですよ。では、あなたは、Aから、友人のCに嘘の供述をしてくれるように頼んだ、先生、Cを証人として証言させてくれないか、と、頼まれました。問題はありますか。

「Cに嘘を言わせるということなので、弁護人の真実義務に反すると思います。」

 ん?その前に、そもそも何かの犯罪に該当しない?

「あっ、…偽証罪ですか。」

 え?弁護人自体が証言するわけじゃないよ?

「えっと、証…(証拠偽造と言いかける)、偽証罪の教唆犯が成立しそうです。」

 まあ、いいでしょう。では、A,B両名が共同被告人として、共同審理にかかったとします。審理の中で、Aは犯罪事実を認め、Bは否認しています。Aの供述を、Bについて証拠とする方法はありますか。

(共同被告人の供述!?)
「…被告人質問、ですか…?」

 被告人質問。それと?

(これはきつい)
「それと、…Aの供述録取書を証拠請求します。」

 供述録取書。それと?

(まだあるのか)
「それと?…えー…Aを証人として証人尋問することは、できないですよね?」

 証人尋問はできないと。なぜですか?

「えっと、…被告人には包括的黙秘権が認められていることとの関係で、証人についての偽証罪の告知や、宣誓がうまくいかないから、ではないかと…」

 そう。でも、Aが宣誓とか、全部OKって言ったら?

「…それでも、なお…反対尋問とかがうまくいかないと思うのですが…」

 そのようにお考えなのですね。では、証人尋問する方法は何かありますか。

「弁論を分離すれば出来ると思います。」

 なぜ?

「被告人から、第三者になるので…」

 そうですか。では次に。Aの公判廷供述において、Aは捜査段階での検面調書と相反する内容の供述をしました。検察官としては、どうしますか。

「検面調書を証拠請求します。」

 条文上の根拠と、要件をどうぞ。

「321条1項2号後段の、相反するか若しくは実質的に異なった供述をしたとき、に当たります。そして、公判供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況が存在するとき…つまり、相対的特信情況があるとき、です。」

 Aは被告人ですよね。322条ではないのですか。なぜ、321条を?

「Bの事件についてですよね。…でしたら、共同被告人といえどAは第三者であり、かつ、322条よりも321条の方が要件が厳しいので…」

 うん。では、事案を離れて一般的に、ですが、「信用すべき特別の情況」とは、具体的にどのようなものがありますか。

「前の供述に信用できる客観的な情況が存在するか、公判廷供述が信用できない情況の下でなされたか…すみません、具体的に、ですよね。」

 そうです。何か、ありますか。

「たとえば、犯行直後に検面調書が取られたりすると、記憶が鮮明なので信用すべき客観的情況があります。あと、被告人と供述者との間に特別な関係があって、供述者が公判廷でうまく話せない場合や、事件があってから何年も経ってしまって、供述者に記憶の減退が起こっているときなどがあります。」

 供述調書の内容自体は、みることができますか。

「内容は、客観的外部情況を推認する限りにおいてみることができます。たとえば、公判供述が曖昧で、一方検面調書の内容が詳細かつ論理的だったとき、そこから時間経過による記憶減退を推認して、客観的な特信情況を認定する場合などです。」

 はい。…いいでしょうか、はい、では、おわります。

「ありがとうございました。」

→感想
 まさか承継的共同正犯を聞かれるとは思っていませんでした。実体法ばかりでした。手続については殆ど聞かれませんでした。
 副査の方がとても怖かったです。極力、主査のみを見るようにしていました。