先週の土日は中央大学法科大学院入学試験でしたね。僕は受験していませんけれども、友人達が頑張っていたようです。良い結果が彼らに訪れるといいなあ。

さて、久しぶりの更新です。受験の毎日だと中々ネタがないので仕方がないのです…と言い訳。


今回のネタなのですが、以前の記事で民事訴訟法の和田吉弘教授を紹介しましたところ、一般の検索でそこそここのブログにひっかかるようです。ですので、今回は彼の本に再びご登場願おう、というわけです。


司法試験論文本試験過去問 民事訴訟法 (解説講義・実況中継)
司法試験論文本試験過去問 民事訴訟法 (解説講義・実況中継)


今回はこの本。和田教授が平成12年と16年に辰巳で行われた解説講義の文字おこし本です。
かなり昔の講義ですけれども、この本自体の出版は平成17年で、講義当時も新法にはなっていたのでそれほど使いにくさは感じません。
この本自体はもう絶版となっており、今は辰巳のオンデマンドか中古でのみ手に入ります。
 


民事訴訟法の演習書といえば、
Law Practice民事訴訟法
Law Practice民事訴訟法

これとか

基礎演習 民事訴訟法
基礎演習 民事訴訟法

これとか

事例演習民事訴訟法 第2版 (法学教室ライブラリィ)
事例演習民事訴訟法 第2版 (法学教室ライブラリィ)

これとか

解析 民事訴訟
解析 民事訴訟

これとか

が有名どころかなと思います。(こう並べてみると結構たくさんありますね…圧巻です)


僕は基礎演習民事訴訟法と事例演習民事訴訟法は持っていて、基礎演習の方は4~5月に一周しました。

とても良い演習書です。問題は基本的ですが、執筆陣は豪華だし、何より様々な基本書へのリファレンスがしっかりしていたのが良い点でした。
基礎演習解くときは、机の上に 新堂、高橋、伊藤眞、松本・上野(計五冊)+百選を並べてました(笑)

僕の友人で今年予備試験を受けたヤツもハマっておられました。オススメですよ。


これらの演習書たちは全部素晴らしいと思うのですが、まだ民訴の答案をどう書けば良いか分からない僕のような初学者(かつ予備校にも行っておらず、受験的な指導を受けていない人)にとっては使いこなす(それから「答案化」する)のが難しい印象を受けました。

で、参考答案が全部の問題にばっちり付いているライブ本にいきついたわけです。


確かに、新司法試験になってからは民訴は旧試験のような一行問題がなくなり、 答案作成の「型」のようなものも遙かに重要度は下がってきているように思います。
それに、「答案の書き方がわからない」とは往々にして「書けるほどに内容を理解できていない」と同義であることが多く、決まった書き方を学ぶことは本末転倒なのかもしれません。

ですが、現に法科大学院入試には旧試験のような短めの問題が出題されており、どの大学院入試についても時間制限がかなり厳しいことを考えると、ある程度の「暗記吐き出し」をしないと答案として形をなさない現実があるように思います。 
また、最低限の作法を身につける意味でも、最初はやはり参考答案があった方がいいかな、と思いました。(当然参考答案が付いていた方が安心できる、というのもあります笑)
 

こんなことを思ってライブ本に取り組んだのですが、内容としてはやはり分かりやすいです。解いていて楽しい。これすごく大事だと思います。

講義の方向性としては旧試験を使って民事訴訟法の「論点」を出来る限り拾っていく、という向きでしょうか。
平成16年までの旧試験の問題から40問を抜粋し、それに対して参考答案(辰巳作成)、解説レジュメ(和田教授作成)、解説、答案例の添削が付いています。

民事訴訟法に慣れていただく、という目的があるらしく、手続を説明させるような問題が数多く盛り込まれています。頻出論点ばっかり、という印象は少ないです。
一行問題がかなりの数含まれています。今の試験に直結しない点、ちょっと割高に感じるかもしれないです。
基本書を参照することは少なく、たまに引用があるくらい。新堂教授の教科書からの引用が多いですね。

辰巳のオンデマンド出版の中で大体法律書No.1をキープしているらしく、使っている方は意外に多いのでしょうか?予備校本としてはすっごく良くできているように思えます(僕が言っても説得力に欠けますが笑)。


ただ、難点をひとつあげるとすれば、本当に和田教授の講義を忠実に文字起こししているので、少し読みにくいです。例えば、

「それはなぜかということなんですが、その趣旨は、レジメに書きましたように、訴訟手続が法律行為以上に複雑である、と。あるいは専門的だ、ということですね。で、既判力で…」
「で、まあ、親権者が複雑な…」
「…なりますけれども、これはまあ、6,6とまずは考えていただきたい。どういうことかと言いますと、…」

めっちゃそんままやん。という感じです。出来ればもう少し整理した形で文字起こしして欲しかった、というのは贅沢ですかね(笑) 


総じて満足できる演習書だと思っています。他の演習書も評判が良いものばかりなので、解く機会があれば解いてみたいです。


まとめると、旧試験の中から使えそうな問題を選んだ問題集です。一行問題が多く、事例演習には向かないかもしれません。ですが、民事訴訟法の純粋な手続的側面、制度的側面を説明させる問題が数多く含まれており、学ぶところは多い本だと思います。

オンデマンドで6000円するのでちょっと手が出にくいですが(笑)、もし民訴の問題に困っている方がいらっしゃれば参考までに。