今日は、午前中に肢別本民法1巻をやっと終わらせ、ロープラ民法1巻 の物権と用益物権を終わらせ、疲れたのでこの前15%オフで買った和田吉弘『民事訴訟法から考える要件事実』を午後はずっと読んでいました。

民事訴訟法から考える要件事実


これです。
大体3時間半くらいで読み終えることができました。

和田吉弘教授といえば、東大博士課程を単位取得後退学し、その後裁判官を勤められたあとに青山学院大学の教授になっているという経歴の持ち主で、すばらしいバランス感覚をお持ちだなあ、といった印象を受けます。彼の書籍としては、

基礎からわかる民事執行法・民事保全法 第2版
基礎からわかる民事執行法・民事保全法 第2版

司法試験論文本試験過去問 民事訴訟法 (解説講義・実況中継)
司法試験論文本試験過去問 民事訴訟法 (解説講義・実況中継)

この2冊が有名で、僕もどちらも持っているのですが(読んでないですけどね!)、どちらも「わかりやすい」ことで人気を博しています(多分)。その和田教授が書いた要件事実の本!とくれば読まずにはいられないわけですが…


要件事実の本としては、これまでに
 新問題研究要件事実
これと、

法律文書作成の基本  Legal Reasoning and Legal Writing

これを(どちらも前半だけですが…)読んでいたので、大体見たことある内容が並んでおりました。

和田教授のこの本は、要件事実を今から学ぶ初学者を想定して執筆されているので、全くの初学者と言えない私が読んだレビューにどれほどの価値があるかわかりませんが、一応書き留めておきます。


結論から言って、非常に読みやすく、整理された良書でした。

要件事実論において用いられる概念や専門用語を、しっかりとその定義から解説した上で、段々と読み進めていくうちに言葉の使い方に慣れるような構成になっています。

章立てとして、

第1章:要件事実論と民事訴訟手続
第2章:給付訴訟の訴訟物の法的根拠
第3章:要件事実論の基本的類型
第4章:弁論主義・証明責任
第5章:要件事実論のその他の類型

の5本立てになっています。タイトルにもある通り、民事訴訟法の話からはじめ、要件事実論と行ったり来たりしながら相互の理解を深めていく構成ですな。

特に、第4章の弁論主義・証明責任の解説がすばらしかったように思います。民事訴訟法を一応学んだあとに読むと、より深く理解出来ることは間違いないでしょう。
1、2章も導入としてすばらしいです。「要件事実論」と「事実認定論」の違い、「処分権主義」と「弁論主義」の違い、などなど。基本的な概念をしっかり理解するのに最適な内容でした。

第3・5章は要件事実の類型別解説(貸金返還請求の要件事実はこう、所有権に基づく返還請求の要件事実はこう…みたいな。)で、先に紹介した『新問題研究』をより丁寧に説明したような形になっています。『新問題研究』『法律文書作成の基本』 の二冊には、いわゆる「ブロック・ダイヤグラム」が載っているのですが、本書には載っておりませんでした。図や表を用いて、文章と共にわかりやすく説明することを優先したようです。ですので、訴訟物=Stgとか、そういったドイツ語由来の省略表記法などは書いておりません(要らないという気もしますが)。

とりあえず通読はしましたが、将来要件事実が必要になるときに、もう一度読み返すだろうなと思った書籍でした。もう一度読み返そうと思える本は貴重ですよね。

ということで、是非読んでみることをお勧めします。全体で200ページくらいしかないので、半日もあれば読めるでしょう。


民事訴訟法から考える要件事実
民事訴訟法から考える要件事実

 新問題研究要件事実
新問題研究 要件事実

法律文書作成の基本  Legal Reasoning and Legal Writing
法律文書作成の基本  Legal Reasoning and Legal Writing